初めてアート購入を検討した話|前編

初めて「アートを買う」ことを検討した。

恋した相手はアートマーケットの価格帯からしたら随分と安いのは分かっていたけど、今までの人生で数回しか払ったことのない大金を使うに当たって、買ってしまおうか、やっぱりやめようか、思考と感情がぐわんぐわん揺れ動いて両極を行き来する。
たった2日間の出来事なのに、なんだかセンセーショナルな体験だった。

この記事は、その時の気持ちや決心に至るまでの長い道のりをつらつらと書いた雑記です。

 

出会い

会社で資料集めのために読んでいたVOGUE japan Webの記事に、オープンしたばかりの注目のセレクトショップの記事が出ていた。会社から歩いて5、6分のところだったから、興味が湧いてお店のインスタをチェック。
すると、そこで取り扱っているのであろう、とんでもなく好みの作品が目に飛び込んできた。

作家のアカウント名が記載されていたからそちらを見に行くと、なんとちょうど展示を開催中。
ひと月ほど設けられていた会期は、残りあと5日。

見つけたその日のうちに作品に会いに飛んで行くなんて初めてのことだ。
そんなことを思い当たる前にもう、足がギャラリーに向かっていた。

販売しているのか展示だけなのかもわからなかったけど、とにかくひと目見たい。
実物が発する雰囲気を目の当たりにして、この直感が本物だったのかを確かめて、そして大きさや値段みたいな実際的な部分を確認して、私の人生にコミット可能なものなのかを知りたい。
足早に通りを抜けながら、その強い思いが頭を占拠していた。 

 

本物の作品は、 ひと目見て「好き!!」という感情がブリブリ沸き起こった。
ビビビときたあの直感は間違っていなかったんだと確信する。
そのシリーズがいっぱいあるものだから、もう瞬時にテンションがぶち上がりに上がった。

しかし。会期が残り5日間の時に知ってしまったのがまずかった。ほとんどが売約済みだったのだ。

とにかく売約済みのものも含めて一つ一つに視線を注ぐ。
売れてしまっているのが口惜しい。という気持ちと、やっぱりいい。という気持ちをないまぜにしながらギャラリー内を何周もする。

ファッションブランドがお店の中に持っているギャラリースペースなので、お店の方はとても気さくで、洋服を買うようなテンションで一緒に盛り上がってくれてとてもありがたかった。
なんせ、アートピースを買う(かもしれない)気分になっているのは、これが初めてなのだ。

店員さんがまだ売れていない、買うことのできる作品を教えてくれる。
おそらくこの作家さんにはギャラリーが付いていないのであろう、全体的にアートピースとしてはとても安いと言える値段だったけど、何も考えずにぽんと買って帰れるような小ぶりの作品は、軒並み売れてしまっていた。
残っていたのはこの展示のメインとなる大作や、小さいけれどすごく美しくて比較的高値なもの。

 

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