初めてアート購入を検討した話|後編

こちらの記事の続きです。

 

グーグル先生に聞いてみよう

悩んでいたのは「どちらにするか」、そして「買うかどうか」もまだ俎上に上がったままである。
自分としては作品にその値段だけの価値を感じているけれど、当たり前のようにアートがなくても死なないが、食うものが買えなかったら死ぬ。
果たして5万円以上のお金が手元から消えてしまってもいいものだろうか。

画廊系列に勤める友達にラインで写真を送って相談する。
並行して「アートを買う」ことについて検索をかける。これまでアート作品を買うことを本気で検討したことがなかったから、欲しいアート作品に出会ってしまってから慌ててGoogle先生に泣きついた。先生、本当にあれを買ってしまっても良いのでしょうか。

 

Webには、アート購入経緯・感想をブログに書いている人がいたり、ギャラリストがアート購入を促したり(そりゃ買ってほしいよね)、その際の注意点をまとめたりしてくれていた。

買い方は人それぞれだ。

  • 良し悪しが分からないならフィーリングで決めちゃえばいいんです。
  • 人の意見は参考にしない。
  • 作家をできる限り詳細にリサーチしてから購入に踏み切る。
    (つまり作家としての将来性があるかどうかを自分の中で審査する)
  • 自宅にある他の作品、インテリアとの相性を考える。

などなど。

 

もっともっとさまざまな人の、いろんな意見を読みまくりたかったのだけど、残念ながら「アートを買うことについて」書かれた記事は、他のありふれた話題に比べて数が少ない。
日本のアートマーケットの狭さを嘆く記事も散見された。

藝大を卒業した私ですら、いざ買うかどうかという瀬戸際に「アートがあっても飯は食えない」「価値が定数化できないもののために大金を払ってよいのか」なんてことがチラついてしまうのだから、日本でアートを買うのはごく一部の人だけなんだろうなぁ、と再確認することになった。  

 

背中を押してくれた友達

ラインを送った友達は、写真を一目見て「これは素晴らしい、買い」という内容の返信をくれた。
自分よりも目の肥えた友人からの後押しは心強い。

けど、彼女は前に私がFURLAの17万円のバッグを衝動買いしそうになったときにラインでストップをかけてくれた頼もしい友達だ。
FURLAがダメでこのアートなら即決、という基準が私にはよくわからなくて、純粋な疑問が湧き、理由を尋ねてみた。

彼女の意見は下の5項目になる。

 

  • アートは持っておくと値上がりする可能性があり、投資という名目(口実)がある
    バッグは使っていくうちに値下がりする。
    (※ただしアートの市場価値がゼロになる可能性も大いにある。)

  • アートは基本的には一点ものである
    プレタの服やバッグは同じものが大量に作られている。
    そこに値段では計れない「物としての価値の差」を感じる。

  • 素材の値段が高いので製作費用が高くついている
    この作品はアクリル樹脂を使っていて、一点に使う素材の量もさることながら、試行錯誤を繰り返しているものなので、売り物にならず破棄した素材分もかなりの量、かなりの金額になるはず。

  • 素材の値段を踏まえると、この先作者が価格を上げることが見込まれるので、
    買いたいのであれば今買うのが一番安い

  • 単純に、その作品を良いと思う

 

さすが画商に勤めるプロだけあって、説得力がある。聞いてよかった。
素材の原価なんかは言われてみれば私にもわかることで、かなり頷ける。素材の値段を考えると、むしろ全部売れたところで全体的には赤字なのではないかとすら思うくらいの値段だ。

 

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